「正しそう」で は 現場に 出せない領域が ある 金融機関の コンタクト センター、とくに 大手では、AI の 回答に 根拠が 添えられていなければ、現場で 使えません。生成 AI を「答えてくれる 存在」と して 導入する 一般的な 発想と、ここで 求められる 前提は ずれています。
回答の 中身以上に、何を 根拠に そう 答えたかが、業務で 使えるかどうかを 決める。 業務効率化の ために AI を 入れる 企業は 増えています。ただ 金融大手では、AI の 出力に 根拠を 示すことが、監督官庁・社内 コンプライアンス・お客さま対応の 三方向から 実務上求められます。「正しそうに 見える 回答」は 、業務に 出した 瞬間に 説明責任の 問題に 変わります。
本案件で 必要だったのは「答える AI」で はなく、根拠とともに 答える AI でした。両者の 違いは、どこから 設計を 始めるかに 表れます。
自社データを 参照する AI を、根拠込みで 設計する 自社の 文書を 検索し、その 内容を もとに 回答させる 仕組み(RAG)は 、すでに 広く 使われ始めています。しかし 金融大手で 使うには、「どの 箇所を 根拠に したか」だけでなく、「その 箇所が どの 文書の、どの 版の、誰が 承認した 情報なのか」まで 追跡できる 設計が 必要です。
本案件では、機能の 仕様より 先に、出力の 仕様を 固めました。AI が 回答と 一緒に 何を 返し、どう 振る 舞うべきかを、次の 3点で 決めています。
答えに 必ず引用根拠を 添える :要約せず、出典文書の 該当箇所をそのまま 示す 引用した 文書の 出どころを 一緒に 返す :文書名・版・承認者をまとめて 示す 回答できない 問いには「回答できない」と 言える :分からない 部分を、推測で 埋めて 答えないこの 3つを 設計の 出発点に 置くか、後から 付け足すかで、運用の 負担は 大きく 変わります。後付けに すると、本番稼働後の どこかで 破綻しやすくなります 。
選定の 決め手は、精度より 根拠を 説明できるか どうかだった 文書検索の 方式と、文書を AI が 検索できる 形に 変換する モデルを、それぞれ複数比較しました。精度の スコアは 参考値にと どめました。重く 見たのは、なぜ その 文書が 根拠に 選ばれたのかを、人が 後からた どれるか どうかです。
比較の 観点は、業務担当者と 一緒に 次の 3つに 整理しました。
精度(参考値) :業務担当者が ブラインド テストで 合格と判断する 割合 再現性 :同じ問いに、同じ 根拠が 返ってくるか追跡可能性 :誤った 引用が 混じった とき、原因を ログから 何分で 特定できるかデータを 社外に 一切出さない、閉じた 環境で 動かす 質問や 回答に 顧客の 金融取引情報が 含まれる 可能性が ある ため、AI の 処理も 文書検索も、社外と 通信しない 閉じた 環境に 置きました。一般的な クラウド サービスを そのまま 使えるか、社内 ネットワーク内で 完結させる 必要が あるかは、こうした 情報を 扱うか どうかで 分かれます。
文書を AI が 検索できる 形に 変換する 作業から、文書の 検索、回答の 生成まで、AI の 処理を すべて 社内 ネットワーク内で 完結させました。外部の AI サービスを 呼び出す 一般的な 構成とは、出発点から 異なります。
通信経路を 社外に 一本も 出さなかった ことが、コンプライアンス 審査を 一度で 通過できた 最大の 理由 でした。外部接続を 後から 組み込む 設計であれば、審査で 差し戻されていたと 考えています。
AI モデルの 世代交代に 追従できる 前提で 組んだ AI モデルは 半年単位で 世代交代します。導入時点で 固定した 構成は、半年後には 性能でも コストでも 見劣りします。その ため、モデルだけを 差し替えられる 構造を 最初から 組んでおきました。
「AI モデルと つなぐ 部分だけを 差し替えられる こと 」を 要件に 入れました。検索や回答の 後処理、ログの 記録は そのままに、モデル本体だけを 切り替えられるよう、境界を はっきり 定めています。
運用フェーズに 入ってから 実際に 一度、モデルを 新しい 世代に 更新し、本番を 止めずに 切り替えを 終えています。世代交代は これからも 続きますが、次回以降も 同じ 手順で 差し替えられます。
根拠提示率96%と 、社内に 残した 設計判断 数字で 示せる 成果は 根拠提示率96%で す。それ以上に 重視したのは、なぜ この 設計を 選んだのかを、金融機関の 社内チームが 自分たちで 説明し、再現できる 状態を 残す ことでした。
社内 FAQ・業務 マニュアルを 対象に、回答ごとに 正しい 参照元文書を 示せた 割合(根拠提示率)で 96% を達成 3ヶ月で 本番稼働し、設計議事録と 比較検証ログも 納品物に 含めた 要件定義の 段階から、金融機関の 社内チーム向けに AI の 技術勉強会を 立ち上げ、案件期間を 通して 続けました。取り上げた テーマは、自社データを 参照する AI の 基礎、文書を AI が 検索できる 形に 変換する 考え方、AI の 答えが 不確かな ときに それを どう 示すか、の 3つです。設計判断を 一人の 頭の 中に 残さない こと自体を、この 案件では 納品物の 一部と 捉えています。
金融に AI を 入れる 仕事は、賢さを 売る ことではなく、根拠を 説明できる 仕組みを つくる ことである。 / FIT FOR
この 事例が 参考に なる方 ▸ 監督官庁・社内 コンプライアンスの 双方に AI の 出力を 説明する 義務を 負う 金融機関の DX 責任者 ▸ 自社データを 使う AI を、外部クラウドに 出さずに 運用したい 情報 セキュリティ 責任者 ▸ PoC で 精度の 数字は 出た ものの、業務に 出せず 止まっている 現場の リーダー