一行の ミスが、資産流出に直結する 世界 暗号資産を 扱う サービスの インフラでは、設定の 一行の 誤りが、そのまま 顧客資産の 流出に つながります。問題が 起きてから 直せばよい、という 一般的な クラウド サービスの 運用の 前提が、ここでは 通用しません。
案件初日に、チームが 設計の 原則として 書き出したのは 次の 一文でした。
ここでは、ミスは 取り返せないという 前提で 設計する。 本案件の WaaS(Wallet as a Service: 顧客の 暗号資産を 預かり、その 操作を サービスとして 提供する 仕組み)は 、顧客の 資産 その ものを 直接扱います。一度外部に 送られた 暗号資産は、原則として 取り戻せません。
セキュリティと 応答速度の 両方に、最高水準が 求められる 現場でした。どちらかを 優先する 選択肢は なく、両立を 当然の 条件として 設計を 組み立てる 必要が ありました。
ゼロトラスト 構成を、設計の出発点に 置く 「内部 ネットワークだから 安全」と いう 前提は、一切置きませんでした。サービス間の 通信ひとつ ひとつで 認証・認可を 行い、監査ログを 残す構成を、後付けではなく 最初から 組み込みました。
ゼロトラストは、「信頼を 前提に しない 」と いう 設計思想です。ネットワークの 内側だから 安全、という 発想を 捨て、すべての 通信を 疑う 立場で 設計します。
認証 :サービス間の 通信では、すべて 相手の 身元確認を必須に する 認可 :誰が 何に アクセスできるかを、業務に 必要な最小限に 絞る 監査ログ :すべての アクセスを 後から 追える形で 残す この 三点を 後から 付け足そうとすると、セキュリティの 穴を 残したまま 運用に 入ることになります 。本案件では、最初の 数週間で 構成の 骨格を ゼロトラスト 前提で 固め、その後の 作業は すべて その 上で 進めました。
守りを 重ねても、応答速度を 落とさない ゼロトラストを 徹底すると、通信の たびに 確認処理が 入る ため、工夫せずに 組むと 応答が 遅くなります。一方で 暗号資産 サービスでは、応答の 遅れも 許されません。
守りを 重ねる ことと 速度は、どちらかを 削るしかない 関係に 見えます。実際には、設計の 細部を 詰める ことで 両方を 満たせます。
インフラの 構成を、すべて コードで 管理する インフラの 設定は、管理画面での 手作業に 頼らず、すべて コードとして 書き表しました。実行・通信・保管・認証の 各層は、ほかの 層に 依存しない 作りにしています。ある 層だけを 差し替える ときも、ほかの 層に 手を 入れずに 済みます。
クラウド上で 動く サービスは、計算する 場所、通信する 経路、データを 保管する 場所、誰が アクセスできるかを 制御する 仕組みなど、複数の 部品で 構成されます。本案件では それぞれの 部品の 役割を、「実行・通信・保管・認証」の 4層に 整理しました。
設定を コードで 管理し、レビューの ときに「変更前後の 差分を 一行単位で 確認できる 状態」 を 作りました。暗号資産の 基盤の 設定を 手作業で 変えていくと、何が どう 変わったかを 正確に 確かめられず、ミスが 紛れ込む 余地が 残ります。
通信経路・一時保存・自動増設で 速度を 取り戻す 認証の 確認処理による 遅れを、通信経路の 最短化、認証結果の 安全な 短期保存、負荷が 高まる 前の サーバー 自動増設で 吸収しました。
通信経路 :確認する 場所と 処理する 場所を近くに 置く 一時保存(キャッシュ) :認証結果を 安全な 範囲で 短期間保持し、確認し直す回数を 減らす自動増設(スケーリング) :負荷が 上がり切る 前に サーバーを 増やす基準を、あらかじめ決めておく速度を 高める 施策は、セキュリティを 下げない 範囲に 限りました 。わずかな 妥協が、後で 大きな 損失に つながりかねない 領域だからです。
本番前の 確認を 尽くし、8ヶ月で 納品 暗号資産の 基盤では、変更前の レビュー、影響範囲の 確認、本番反映前の テストの いずれも、ほかの 領域より 一段慎重に 行います。インフラの 上で 動く ウォレット アプリと 整合が とれた 状態で 運用に 引き渡す ところまでが、納期に 含まれていました。
8ヶ月 で 本番納品実行・通信・保管・認証の 4層 を、それぞれ単独で 入れ替えられる 構成にし、高い セキュリティ 要件 を達成 「事故が 起きてから 直す」運用は、この 領域では 許されません。設定の ささいな ミスも 見逃さない 前提で、先に 挙げた 確認と テストを 一つ 残らず 終えてから 、運用に 引き渡しました。
やり直しの きかない 領域では、勝負は 本番に 出す前に 決まっている。 / FIT FOR
この 事例が 参考に なる方 ▸ Web3・暗号資産を 扱う SaaS・WaaS を 新しく 立ち上げる 事業責任者 ▸ セキュリティと 応答速度の 両方に 最高水準が 求められる、金融・暗号資産 プロダクトの 技術責任者 ▸ サービスの 基盤を、最初から ゼロトラスト 前提で 設計したい インフラ責任者